未来の1/fragment






相談室を出た丸林は、両手をズボンのポケットに入れて重い足取りで廊下を歩いていた。


ふと廊下の窓から外を見ると、どしゃ降りの雨が降っていた。



「何か、やな雨だな」



丸林はボソッと呟いていると、前方から夏海がこちらへ歩いてくるのが見えた。



夏海は丸林とすれ違い様に目を合わせ、何も言わずに通り過ぎようとしたところで、丸林が咄嗟に夏海に話しかけた。



「おい雨女‼︎この雨止めてくれないと、俺帰れねーんだけど」


「何よそれ⁉︎私が雨を止める力なんてないわよ‼︎自分でどうにかして‼︎」



夏海の冷たい目と強気な口調で言うと、再び前を向いて歩き出した。


ふと後ろを振り返った夏海は、丸林が全く動揺する様子がなくいつもの様に冷静のまま、じっと一人で窓の外を眺めていた。


この時、他人とはどうも違うと、夏海は違和感を感じた。





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