未来の1/fragment
丸林は一度窓の外を見た後に、視線を夏海の方へ真っ直ぐに向けた。
「なぁ、俺の未来って見えるのか?」
丸林からの予期せぬ発言にただ驚く夏海は、歩いていた足を止め、後ろを振り返る。
「何?あんたが未来に興味を持つようになったの?」
夏海が小馬鹿にするような言い方に、少し腹が立った丸林は渋い顔で手を横に振った。
「やっぱりいいや…」
「自分から聞いておいて、何それ⁉︎」
夏海は苦笑いを浮かべ、丸林の隣を通り過ぎて数歩歩いて、ふと立ち止まると、再び丸林の方へ向いた。
「もし私があんたの未来を知ってるとして、教えたらちっとも面白くないでしょ?」
夏海は不敵な笑みを浮かべて、図書館の方へ歩いて行った。
丸林はただ、夏海が歩いて行く後ろ姿を静かに見ていた。