未来の1/fragment
授業をサボって中庭のベンチで寝ていた丸林は、救急車のサイレンの音で静かに目を覚ました。
「ん、何だ何だ⁉︎」
ムクっと起き上がり、手すりにつかまり下を覗くと、ストレッチャーで運ばれる夏海が、校門前に止まる救急車に運ばれていく姿を見た。
「あ〜あ」
しばらく校門の方を見ていた丸林は、左手をズボンのポケットに入れ、ベンチに置いていたリュックを右肩に背負い、中庭を後にした。
その頃堀澤は、教室へ戻る前に事件現場に立ち寄った。
あの場面を目の当たりして、精神的に平常ではいられないはず。
冷や汗と乱れた呼吸、震える手足をしている生徒が数名いたことを思い出した。
そして周りにいた野次馬の中に犯人がいるだろうと考えた。
洞察力に優れた堀澤の中では、もう既に犯人は定まっていた。