未来の1/fragment
左腕にしている腕時計が【 7:45 】の針を指している。
腕時計を見ていた顔を上げた男子学生は、道路を走るバスが通り過ぎて行くのを見て慌てて走りだした。
バスに乗り込み後ろの席を見渡すと、同じ学校の制服を着た女子学生が1人で窓側の2人がけの椅子に座っていた。
両耳にイヤホンをして、音楽を聴きながら携帯を触っていた。
バスが動き出し、男子学生はバランスを崩しながらも左手でつり革を握った。
自分の存在に気づいていない女子学生を微笑みながら見つめ、ポケットから携帯を取り出し、メッセージを打ち始めた。
『今、学校に向かってる?』
メッセージを送ってすぐに顔を上げ、目の前の席に座っている女子学生の反応を伺った。