未来の1/fragment
夏海は視線に気付いたのか、ふと後ろを振り返った途端、丸林は何事もなかったかのように視線を逸らした。
そのまま正面を向いて靴箱を閉め、リュックを背負い直して昇降口を後にした。
廊下を歩いていると、担任の西岡が丸林を追いかけて来た。
「歩くのが早い…」
そんな弱音を吐く西岡の方を振り向いた丸林は、真顔で見つめた。
「先生、今度俺の話を聞いてもらってもいいですか?」
「ん?いいよ、いつでも」
丸林は西岡の返事を聞いて、すぐに教室に入って行った。
教室の後ろを歩いていると、教卓前でクラスメイトが集まっていた。
「相変わらず一位の座は譲らないのね、さすがだわ」
さやかはテストの順位のプリントを手元に眺めながら感心する。