未来の1/fragment
首を振ってソファから立ち上がり、右手で自分の髪をワサワサと触りながらベランダの方へ歩き、窓から外の景色を眺めた。
すると左の道から一台の黒塗りの車が家の前に止まり、後部座席から父親が降りて来た。
その姿を見ていた丸林は、じっと父親の姿を真っ直ぐな目で見下ろしていた。
* * *
一方、リビングでお茶を飲みながら寛いでいた母親が、二階の階段の方へ視線を向けた。
「あの子、ちゃんと勉強してるのかしら⁉︎」
「母さん、あんな奴心配してどうすんの?」
「泰斗、その言い方はやめなさい‼︎」
母親から怒られた泰斗は拗ねてしまい、冷蔵庫から飲み物を取って自分の部屋がある二階へ駆け足で上がって行った。