未来の1/fragment
階段を上がった時に、偶然部屋から出て来た丸林にでくわした。
お互い目は合わせるが、すぐに視線をそらして素通りするところを、今日は珍しく泰斗が丸林に声を掛ける。
「なぁ、お前の悪い噂がうちの学校まで流れてきてる。お前のせいで俺は迷惑してるんだぞ。『あいつの弟なのか⁉︎』って。もうちょっと普通に大人しくできないの?」
「それ、いつの話だよ⁉︎俺はいつも大人しくしてるけど」
クスッと笑って余裕を見せる丸林を目の当たりにして、腹が立った泰斗は声を荒げる。
「もう勘弁してくれよ‼︎目障りで邪魔、我が家のお荷物、恥知らずなんだよ‼︎」
そう丸林に直接言いつけて、泰斗は部屋へと入って行った。
部屋に入った途端扉を閉めたと同時に、背を扉に付けて立ち止まった泰斗は、右手拳を作り、ギュッと力強く握った。