未来の1/fragment





名前を呼んだ瞬間に、めまいが起こり体勢を崩し、持っていた点滴スタンドがガタガタと音を立てる。


倒れかけたところを間一髪、走ってきた堀澤が夏海の身体を両手で支えた。



「おい、大丈夫か⁉︎」



男性が私に何か呼ぶ声が聞こえ、夏海は薄っすら目を開けると、窓からの眩しい光が一瞬重なり、堀澤の顔が見えた。



「堀澤くん、どうしてここに⁉︎」


「どうしてって…お見舞いに来たんだよ。来て早々倒れられるとか、堪ったもんじゃないよ‼︎」


「ごめん…」



夏海はゆっくり起き上がり、しっかりと点滴スタンドを握りしめた。



「でもよかったよ、記憶喪失じゃなさそうで」



堀澤くんはまるで太陽の様に光り輝くキラースマイルで、その笑顔を見た夏海は自然と笑っていた。







< 23 / 403 >

この作品をシェア

pagetop