未来の1/fragment
名前を呼んだ瞬間に、めまいが起こり体勢を崩し、持っていた点滴スタンドがガタガタと音を立てる。
倒れかけたところを間一髪、走ってきた堀澤が夏海の身体を両手で支えた。
「おい、大丈夫か⁉︎」
男性が私に何か呼ぶ声が聞こえ、夏海は薄っすら目を開けると、窓からの眩しい光が一瞬重なり、堀澤の顔が見えた。
「堀澤くん、どうしてここに⁉︎」
「どうしてって…お見舞いに来たんだよ。来て早々倒れられるとか、堪ったもんじゃないよ‼︎」
「ごめん…」
夏海はゆっくり起き上がり、しっかりと点滴スタンドを握りしめた。
「でもよかったよ、記憶喪失じゃなさそうで」
堀澤くんはまるで太陽の様に光り輝くキラースマイルで、その笑顔を見た夏海は自然と笑っていた。