未来の1/fragment
「木下、あの事故の話を坂尻にしていいか?」
「いいんじゃない?抜け落ちた記憶を取り戻せるし、夏海も知りたいと思う」
「そうだな」
病室に戻り、夏海はベッドから起きた状態で、堀澤達の話を聞くことになった。
「昨日の5限目終了後、坂尻はトイレを出て廊下を1人で歩いていた。そこへ走って廊下の角を曲がった男子生徒が、振り向きざまの坂尻と正面衝突」
「走っていた男子生徒は口唇を二針縫う怪我、そして夏海は床に後頭部をぶつけて意識を失い、今この病室にいるってわけ‼︎」
ふぅーんと聞いていた夏海は、首を傾ける。
「もう無理に思い出さなくても良いんじゃないか?ぱっと見、怪我もしてなさそうだし。こうやって笑って俺たちと普通に会話が出来てるしさ‼︎」
「そうね」
夏海はクスッと笑い、3人に笑顔を見せた。