未来の1/fragment




夏海は咄嗟に席を離れ、後方の通路に出ようと階段を駆け登った。



「おい、どこ行くんだよ⁉︎」


丸林が夏海に声を掛けるが、返事をせずに通り過ぎようとした途端、左手首を掴まれた。



「お前まさか…堀澤のところへ行こうとしてるだろ⁉︎」


「だったら何?この手を離してよ‼︎」


振り払おうとするが男性の力は強くて敵わない。



「行くなよ」



丸林の一言を聞いて、夏海は丸林に鋭い視線を向けた。



「堀澤に何か伝えたいのか?よく考えてみろ‼︎今堀澤に会って何かを話したとしても、聞く耳持ってもらえる状況じゃないぞ⁉︎

『あぁそうですか、分かりました』って素直に返事をする奴じゃない。「何言ってんだ⁇」ってただお前を疑うだけだぞ」




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