未来の1/fragment





「なぁ、ここの文章さっぱり理解できないんだけど」


顔を上げた夏海は、後ろを振り向く丸林と目が合ってしまい、凄い勢いで瞳の奥に吸い込まれていった。





丸林の瞳の中に映ったもの、それは…


【1週間後にある試験が終わり、結果が掲示板に張り出される。誰もが驚く順位につけた丸林が『やれば出来るだろ?』と鼻を高くした態度を取っている姿だった】





我に戻った夏海は、無意識に表情を緩ませた。


少し笑っている夏海を珍しげに、下から顔を覗き込む丸林と不意にも目が合う。


「何?」


「いや、今笑ってただろ?」


「は?笑ってないから」


「何で嘘つくんだよ⁉︎」


「笑ってない笑ってない、それよりどこなの?分からないところって⁇」



夏海は誤魔化すように話題を変えて、再び勉強に戻った。





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