未来の1/fragment
✳︎ ✳︎ ✳︎
自動販売機の前に立って財布から100円玉を手に取り、ボタンをポチッと押した。
ジュースのタブに指を引っ掛けるが、なかなか開かない。
もたもたしていると、横から手が伸びてきてジュースの缶を取られた。
顔を上げると堀澤が、いとも簡単にジュースのタブを開けて、「んっ」と手渡しされた。
「ありがとう」
ジュースを受け取り一口飲んだところで、堀澤は自動販売機に寄りかかり腕を組む。
「どうしてあいつの為に勉強を教えてあげるんだ?」
「丸林の事?今ね、丸林とある"賭け"をしてるの」
「賭け?」
「もし次の試験で私に勝ったら『誕生日を祝って欲しい』って」
「んで、坂尻が負けたら?」
「髪を黒く染めて短髪にする。どう?賭けにしてはちょっと優しすぎたかな?」
「へぇ〜、面白そうじゃん‼︎」
鼻で笑う堀澤は、坂尻の横顔をじっと見つめる。