未来の1/fragment
「まぁ私に勝てなかったとしても、勉強の面で今後の彼の為に、少しでも力になれるかなと思って」
微かに微笑む坂尻の表情を堀澤は見逃さなかった。
その笑顔は、俺に向けてじゃない。丸林のことを考えてふと自然に出た表情だからだ。
「堀澤は余裕そうね。ひょっとしたら…丸林に順位抜かれるかもよ⁇」
「そうならないように、俺も勉強しておくよ」
「じゃあ、私は先に教室戻るから」
堀澤に手を振って別れた後に、夏海は廊下を歩きながら両手を胸に当てた。
堀澤がジュースのタブを開けてくれたのは良かったけど、心臓が止まるかと思った。
堀澤からキスをされて以来、2人きりになって妙にぎこちない自分。
普段通りに話できてたかな?
堀澤に感づかれなければいいけど…