未来の1/fragment



「俺が本気を出せばこんなもんだ」



夏海は後ろを振り向き、調子に乗っている丸林に視線を向け、偶然にも目が合った丸林は「やればできるだろ?」と鼻を高くして言ってみせた。


再び黒板の方に向き直して、フフっと笑いながら教科書を開く夏海だった。



✳︎ ✳︎ ✳︎



放課後になり、クラスメイトが足早に教室を出ていく中、丸林はリュックを右肩にかけ、歩きながら携帯をいじってるところに夏海が「ねぇ‼︎」と声をかけた。



「何だよ⁉︎」


「"約束"忘れてないわよね⁇」


「あーそうだったな、ちゃんとするよ」


「そう、ならいいけど。じゃあね」



ニコッとわざとらしい綺麗な笑みを浮かべながら手を上げた夏海は、真弥とさやかを連れて去って行った。



「俺が過去最高点を叩き出したっていうのに、ちっとも褒めてくれないのかよ。まぁそれもそうか…」



深いため息をしながら、丸林も教室を出た。





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