未来の1/fragment
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「将生くんの件なんですが、彼は努力を表には出さないタイプなので、分からないかもしれません。
彼は彼ながらに、今一番頑張っていると思います。僕が一番近くで見ているので、彼の変化にいち早く気付きました。
こんなに根は真面目で素直な子なのに、どうしてグレてしまったんでしょうか?」
丸林の父親はただ黙って、西岡の話を聞いていた。
「原因は私にあるのかもしれない。でも親子の問題だから、君はもう口を挟まなくていい」
電話を切った西岡は、はぁと深い溜め息をついていた。
重い足取りで西岡は教務室へ戻ると、机の前で夏海が立って待っていた。
「あっゴメンゴメン‼︎ちょっと電話してて…」
苦笑いを浮かべながら、机の引き出しに閉まっていた成績表と進路希望調査のプリントを取り出した。