未来の1/fragment
「坂尻の成績なら、T大学へ入ることが出来る。なのに何故、違う大学を選ぶんだ?」
自分が希望する大学を書いたはずなのに、夏海は怒られてしまった。
すると、一枚のプリントが引き出しから零れ落ち、床にヒラヒラと落ちた。
夏海は咄嗟にプリントを拾おうとした時に、同じく拾おうとした西岡と手が当たり、いきなり耳鳴りがキーンと鳴り始めた。
周りが一時停止したかように、空気と同調(シンクロ)する。
夏海は目の前にいる西岡の手首を右手で掴んで、今さっき起こっていた過去の出来事を早戻りでプレイバックする。
西岡の過去を振り返っていると、夏海は数分前に廊下で誰かに電話をかけていた姿が見えた。
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"『将生くんの件なんですが、彼は努力を表には出さないタイプなので、分からないかもしれません』"
シュッと画面が変わり、それは数日前の教務室へと場面は展開する。