未来の1/fragment






教務室前、過去を見ている夏海と今まさに、同じ場所に丸林は立っていた。


待っている相手は同じく担任の西岡だ。


本棚の上に伏せて置かれていた写真立てに手を伸ばし、写真をじっと見ていた。



『…よりによって俺の親父かよ‼︎』



丸林はあまりの衝撃に、思わず写真立てを本棚に戻した。







夏海は、我に戻ると西岡の手首を掴んだまま、真っ直ぐな目で見つめた。


西岡はいつどのタイミングで、夏海に手首を掴まれているのか一瞬分からなかった。



「私の進路の事より、丸林の事を心配してあげて下さい。先生と丸林の父親が何らかで繋がってる事、気付いてないとでも思ってません?」



「えっ⁇」



パッと右手で掴んでいた手首を外し、その場を立ち上がった夏海は、拾ったプリントを西岡に手渡す。





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