未来の1/fragment
『影響力の行使』できる瞬間は、生徒個々によって違うし、『行使』の仕方も千差万別。だから難しい。
でも、その瞬間を逃さず、一歩踏み出せるように背中を押す。
その『影響力』を与えられるかどうかが教師の力だと思う。
西岡は現実と現状の間で苦悩していた。
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教室に戻った夏海は、次の人を呼ぶとすぐに自分の席に座った。
後ろの席に座る真弥は、夏海の肩を叩いた。
「帰ってくるの早かったね」
「そう?」
夏海はクスッと笑って見せ、ポケットに入れていた携帯を取り出した。
後方の席で案の定、うつ伏せになって寝ている丸林の携帯からマナーモードが鳴り始めた。
ムクッと起きて携帯を見ると、夏海からメールが来ていた。
『試験はまだまだ続くから気を抜かないで‼︎次の課題を丸林のロッカーに入れておくね
』
メールを確認した丸林は、携帯の画面をoffにして再びうつ伏せで寝始めた。