未来の1/fragment




次の生徒がなかなか来ないので、教務室から歩いて教室へ向かう西岡は、廊下の教室を覗いた。


教室の後方の席で、うつ伏せになって寝ている丸林の姿を見て、ふと昔の自分と重ねて見てしまった。


ボーッと廊下に立っていた西岡に、背後から生徒に声を掛けられる。



「先生、どうしたんですか?」


「いや、何でもない。それより来るのが遅いぞ‼︎」



西岡は生徒の背中に手を回して、再び教務室へ戻って行った。



✳︎ ✳︎ ✳︎



放課後になり、教室をゾロゾロと出て行く中、うつ伏せになって寝ていた丸林がムクッと起き上がった。


椅子から立ち上がり、教室の後ろにある自分のロッカーを開けた時だった。


目の前には一枚の封筒が入っていた。



「何だこれ?」



その封筒を手に取り、中身を見ると『屋上に来て』とだけ書かれていた。



丸林は首を傾げながらその足で教室を出て、屋上へと向かった。





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