未来の1/fragment





階段を登り、屋上に出るドアノブに手を掛けて、足を踏み入れた時だった。


目の前に広がる光景は、綺麗に横に整列したクラスメイト達だった。


一人一人がA4ぐらいの用紙に「たんじょうびおめでとう」の文字を一文字づつ書いて、それぞれ一枚づつ手に持っていた。



「何だよ、これ…」



丸林の背後に女子生徒が立ち止まった。首から『本日の主役』と書かれた襷をかけられた。



「9月18日。丸林、誕生日おめでとう」



夏海は丸林の背中を両手で押して、クラスメイトの輪に入っていった。



「屋上は立ち入り禁止なんじゃ…?」


「ちゃんと西岡先生に許可取ったから、心配しないで‼︎」



さやかがケーキを持って来て、丸林に手渡す。



「ごめん、さっきコンビニで買ってきたケーキで、ロウソクは立てれないけど…」


「ありがとう」



丸林は1人分のショートケーキを受け取りフォークを刺して一口食べ始めた。





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