未来の1/fragment






クラスメイトはケーキを食べる丸林がどう反応するのか、様子を伺う。



「めっちゃくちゃ美味いよ。今までで一番…」


「いや、それは言い過ぎでしょ⁉︎」


「丸林って『俺は甘い物なんか食わねー』みたいな事を言うかと思ってたのに、なんか意外だね」



クラスメイトからツッコミの嵐を受け、自然と丸林は笑っていた。



夏海は唯一丸林の言動の意味が分かるからこそ、伏し目がちになってしまう。


今さっき、丸林の背中を両手で押した時に、丸林の過去を覗いてしまったのだ。






小学生の頃、誕生日はいつも家政婦さんと2人で夕飯を食べていた。


中学生になり、実の父親が再婚。母親と連れ子の弟が出来たが、更に状況が悪化。


出来のいい弟には、大きなホールケーキを買って誕生日会なんかを開いていた。


そんな様子を側から見ていた丸林は、自分は家族としてカウントされてない。そう思うようになっていた。








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