未来の1/fragment






丸林の悲しい過去が次々と垣間見え、どうすることも出来ない自分が腹立たしい。


担任の西岡が「相変わらず階段がキツイなぁ」と呟きながら屋上へ登ってきた。


クラスの生徒たちが丸林の誕生日を祝っている雰囲気を見て、考え深いものを感じていると


目の前で西岡に背を向けて、誰かを遠くから眺めて見ている夏海の姿があり、西岡は両手に腰を置いて様子を伺う。



1人浮かない顔をして俯いている夏海に気付いた丸林は、側に駆け寄る。



「どうした?体調でも悪いのか?」


「えっ?いや、私もしかしてボーッとしてた?」


「あぁ。保健室行くか?」


「ううん、大丈夫」



夏海がいつもと様子が違うと悟った丸林は、両手をズボンのポケットに入れながら、夏海の顔を下から覗きながら一歩一歩近づく。





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