未来の1/fragment
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「ただいま」
玄関の扉を開け、靴を脱いで家の中に上がり、リビングへ向かった。
父、母、弟、全員揃ってリビングで話しているところを、丸林が通りかかるとパタリと会話が途切れた。
丸林はいつになく視線を感じ、「何だよ」と呟く。
丸林に向ける視線の先は髪色が変わっている事で、茶髪から黒髪短髪になった姿を見て、一同驚いていた。
「一瞬誰かと思ったら…」
「やっと気付いたのか、そりゃそうだよな。俺なんかに興味もクソもないもんな‼︎」
父親はソファから立ち上がり、黙って左手を差し出す。
「この間のテストの結果だろ?言われなくても父さんの考えてる事ぐらい、単純って言っていいほどお見通しだよ」
丸林は自信ありげにリュックから成績表を手渡した。