未来の1/fragment
堀澤の妙な動作を遠目で見ていた真弥とさやかは、目を合わせて呟く。
「絶対嘘だわ…」
「ねぇ、いつから夏海と話すところ見てないっけ?」
「確か、試験後ぐらいからかな?」
「堀澤は怪我もしてたしね」
「うん、怪我ねぇ…」
澄ました表情を浮かべる真弥は、1人考え事をしながらコップに入った水を飲み干した。
✳︎ ✳︎ ✳︎
中庭のベンチに1人で座り、右手で英語の単語帳を器用に持ち、左手で紙パックのヨーグルトをストローで吸いながら飲む丸林の姿があった。
するといきなり単語帳を奪い取られ、目の前には担任の西岡が立っていた。
西岡はふーんと呟き、丸林に単語帳を手渡した。
「ついこの間まで、ベンチに寝転んで気持ち良さそうに寝てたのにな」
「漫画でも読んでるように見えました?」
「いや、俺にはそんな風には見えなかった」
丸林は苦笑いを浮かべながら、再び単語帳を見ながら小声で英単語を呟く。