未来の1/fragment





車は走り去り、事なきを得た2人だったが、いつもなら全力で押し退けるはずの夏海が、丸林の胸の中で留まっていた。



「何ぼーっとしてんだ‼︎おい、どうした?大丈夫か?」



丸林は夏海の両肩に手を置いて、顔を覗く。



「丸林に話しておかないといけない事があるの」


「何だよ⁉︎もしかして…俺の何かが見えたのか?」


「そう、そのまさかよ」



夏海は一度目を閉じて深呼吸をする。


丸林と目があった時に『未来』が、腕を引き寄せられた時に今までの『過去』が脳裏に投影される。





この後、夏海と別れて真っ直ぐ家に帰り、リビングを通りかかった時に、テレビを食い付くように母親と弟が見ていた。


父親が帰宅するや否や、母親と弟が駆け寄り、テレビの内容を責め、なにも把握していない父親は、そのことを聞かされ唖然とする。泣きながら母親は崩れ落ちる。








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