未来の1/fragment




深呼吸を終えてゆっくりと目を開け、真っ直ぐ視線を丸林に向けて、語り出した。



「この後家に帰ると、お父さんの抱える膨大な問題に丸林は巻き込まれて、家庭崩壊寸前の危機に陥る」


「…」



丸林は何も言葉を発さず、ただ黙って夏海の話に耳を傾ける。



「今から壮絶な戦いになるよ」


「何言ってんだよ⁉︎家庭崩壊なんて、今に始まったことじゃないし、何も驚きやしないさ‼︎」



ふっと笑い余裕そうな表情を見せる丸林に対して、夏海は心配そうな目で見つめる。



「丸林が思っている以上に、深刻な状況になりそうよ。私はあなたが心配…」



そう言って前を向いて再び歩き出した時だった。



「ちょっと待って‼︎」



丸林は呼び止めて、夏海の腕を掴んで引き寄せ、ギュッと抱きしめた。


何事かとビックリする夏海だったが、抵抗する気にはなれなかった。





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