未来の1/fragment
「気持ちの整理もできたし、全てが分かってなんかすっきりした気がする。もう夜遅いし、早く帰ったほうがいい」
夏海は顔を上げ、咄嗟に立ち上がった。
「どちらを選んだのか、教えてくれないのね?」
「俺さ、前に父さんから『留学しろ』って言われた事があって、つまり家から出て行けって事だろ?海外に行くのは大人になったらいつかは行くのかな?と思ってた。でもそれも少し早くなりそうだな」
丸林の話を聞いて、夏海は気付いてしまい思わず目線を下に逸らした。
夏海の様子を見て、丸林は表情を変えずに立ち去ろうとした時だった。
すれ違い様に丸林は夏海の耳元に囁いた。
「坂尻に会えてよかったよ」
夏海は後ろを振り返る事ができなかった。
彼が放った言葉、それは『別れ』を意味しているから…