未来の1/fragment






「夏海が笑った。今日は雨が降るかもね⁉︎」


「降らないわよ、今日の天気は晴れのち曇り。降水確率は20%って、朝のニュースで確認済みよ⁉︎」



夏海はそう言いながら、自分の席へ歩いて行く。



「何か夏海って占い師みたい。手を触っただけで未来が分かっちゃうみたいな」


「何それ?そんなんじゃないよ。女の勘ってやつ‼︎」



あ〜なるほどねと頷く真弥とさやかは席に座る。


夏海も自分の席に座り、リュックのチャックを開け、教科書を取り出して机の上に置いていた。


ふと後ろを振り向き、丸林の席を見つめる。彼はもう学校には来ないだろう。


それは担任の西岡も一緒で、教卓前に立つと最初に視線を向けるのは丸林の席だった。


教卓に立つ西岡と目が合う夏海は、キーンと耳鳴りがし始める。





空気に同調(シンクロ)し、匂いや仕草に敏感になる。西岡の手元にある出席表の中に、茶封筒が挟まっている事に気付いた。







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