未来の1/fragment
「治療費と慰謝料として賠償金を、双方の保護者から受け取っています」
テーブルの上に置かれたのは、お札が入っているであろう封筒が目の前に飛び込んで来た。
その瞬間、夏海は耳鳴りが鳴り始め、無意識にシンクロし始める。
男子生徒のテーブルの下から聞こえる貧乏ゆすりの音。膝の上で指を動かす仕草と落ち着きのない態度。男子生徒の視線が左に泳いだのを見逃さなかった。
シンクロを終えた夏海は、突然我に返った。
「ちょっと一言言ってもいいですか?」
手を挙げて発言をする夏海に対して、西岡先生は隣で「いいぞ」と口にした。
夏海は鋭い視線を男子生徒に向ける。