未来の1/fragment
「おばさんが作ったものなら、何でもいいよ」
冷蔵庫から飲み物を取っていると、玄関が開く音がした。
その音はリビングにも聞こえ、家政婦さんの表情がだんだん険しくなり、丸林を心配そうに玄関側と交互にチラチラと見ていた。
「お帰りなさいませ、奥様」
まず母親がリビングに入ってきて荷物をテーブルに置いていると、ほんの数秒後に弟の泰斗(たいと)もリビングに姿を現した。
そして冷蔵庫の前に立っている丸林を見て見ぬふりをした。
「おかえり」
丸林は一言だけ告げて、飲料水と家政婦さんが作ってくれたおにぎりを持って、逃げるように二階へ登っている時だった。