未来の1/fragment
自分が見たものを何の根拠もなく、軽々しくも池谷くんに伝えたターニングポイントの分かれ道が、あと数十分後に差し掛かろうとしている。
そして、もう一つ大事な事がある。
自分が目にした相手の未来について語った事が、本当に真実なのかも同時に分かる。
試合が始まり、両者攻防がフィールド場で繰り広げられた。
強豪校 和泉大学付属は、県内有数の進学校 光府を相手に苦戦を強いられ、前半・後半共に光府ペースになっていた。
「いいぞ、この調子で攻めて行くぞ‼︎」
池谷くんの掛け声が聞こえ、和泉側の監督がベンチから出てくるや否や、コートのサイドラインで足を止め、腕を組んでボソッと呟く。
「そろそろ池谷をベンチに下げないとな…」