未来の1/fragment
車内の中、沈黙が続いていた2人だったが、堀澤はバスの進行方向を真っ直ぐ向いたままポツリと呟いた。
「いるよ、好きな人」
堀澤の不意に発した言葉に夏海は思わず、堀澤と顔を合わせた。
「そんな事、今言わなくてもいいから‼︎」
「何でだよ、さっきまで気になって聞いてたじゃん⁉︎」
「いやいや…学校の人気者がそんな軽々しく言ったらダメでしょ‼︎」
「何だよそれ…」
「もしその言葉を言う時は、ちゃんと本人に伝えてあげて‼︎きっと堀澤に言われて嬉しいはずだから」
秘めている想いをそんな簡単に、しかも本人でもないただのクラスメイトなわけであって。
場所とかさ、誰にでも言って良いわけないでしょ‼︎どこの誰が聞いているかも分からないのに。
腑に落ちないのか、堀澤は「はぁ〜」と深いため息をつき、バスは前へ進み続けた。