未来の1/fragment
夏海が先にバスを降りた途端、いきなり雨が降り始めた。
「嘘っ⁉︎今日雨だったっけ?」
「うわっ、すげー雨だな」
後からバスを降りた堀澤も雨に気づいた。とりあえず急いでバス停の屋根の下へ駆け込んだ。
雨宿りをしていると、堀澤は思い出したかのように、肩に掛けていたリュックから折りたたみ傘を取り出した。
「これ使え‼︎」
堀澤から折りたたみ傘を渡され、戸惑う夏海に対して堀澤は「いいから‼︎」と強く言う。
堀澤はリュックからウィンドブレーカーの上着を取り出して、頭に被り始めた。
「風邪引かないように、ちゃんと傘差して帰れよ‼︎じゃあな‼︎」
雨の中堀澤は勢い良く走って帰って行く、そんな堀澤の後ろ姿を見届けながら、夏海はふと思った。