未来の1/fragment
好きな子でもないのに、誰にでも優しい堀澤。
学力、運動神経、容姿の三拍子が揃った"完璧"男子である。
だからこそ、そんな事をすると世の女子からいつか絶対誤解される。誤解を生んでしまうと、解消するのには一苦労掛かるだろう。
堀澤の性格を只々、心配してしまうのだ。
夏海は、堀澤から手渡された黒の折りたたみ傘を開き、雨の中歩道を歩き始めた。
『いや、ちょっと待てよ‼︎』
もしかしたら、真弥の件もどこか"誤解"があるのかもしれない。
真弥が彼氏以外の人を好きになるなんて、そんな器用な人間には見えないからだ。
きっとそうだ‼︎と勝手に思い込みながら、家の前に着くと、堀澤に借りた折りたたみ傘を玄関に掛けた。