ホクロ
大学院2年 富岡彬(あきら)
英語が堪能で、大学院1年のときにアメリカの大学に交換留学していたらしく、私が彼に会ったのは彼が留学から帰ってきた直後のことだった。
ひょろりと背が高く、彼のスレンダーな肢体を強調するかのようにいつもスーツを着ていた。
シワひとつない糊のきいたワイシャツが、彼の神経質さを表しているかのようだった。
ストレートの黒髪はきちんと整えられていたが、右分けの長い前髪をいつも鬱陶しそうにしていたような気がする(たまたま髪を切っていない時期だったのかもしれないが、私にはそんな印象が強い)。
眼鏡の奥の切れ長で涼しい目は、常に他人の内面を見透かし嘲笑っているかのように見えた。
そして上唇の右上にある大きなホクロが彼の異様な魅力を引き立てていた。
英語が堪能で、大学院1年のときにアメリカの大学に交換留学していたらしく、私が彼に会ったのは彼が留学から帰ってきた直後のことだった。
ひょろりと背が高く、彼のスレンダーな肢体を強調するかのようにいつもスーツを着ていた。
シワひとつない糊のきいたワイシャツが、彼の神経質さを表しているかのようだった。
ストレートの黒髪はきちんと整えられていたが、右分けの長い前髪をいつも鬱陶しそうにしていたような気がする(たまたま髪を切っていない時期だったのかもしれないが、私にはそんな印象が強い)。
眼鏡の奥の切れ長で涼しい目は、常に他人の内面を見透かし嘲笑っているかのように見えた。
そして上唇の右上にある大きなホクロが彼の異様な魅力を引き立てていた。