俺様王子とメイドちゃん
「そうなんだ。僕はね、執事の父が厳しく
て、小さい頃からお祭りとかプールとか行
かせてもらえなかったんだ。だから、美咲
ちゃんもそんな感じだったのかなあって
思って。」
槇野くんは安心したようにまたモップを動
かし始める。
「私がメイドとして働き始めたのは、中学
生のときだよ。」
さっきまでの動揺に、気づかれないように
笑顔を作る。
今は仕事に集中しないと
「じゃあ、家族と色んなところに出掛けた
り、自由に遊べたりしたんだよね。いいな
あー。僕はお稽古ばっかりで・・・。
まるで、どこぞの社長の子供みたいだよ
ね。」
槇野くんはそう言って懐かしそうにあどけ
なく笑う。