俺様王子とメイドちゃん
日が傾いて、歩き疲れたわたしはへなへなと地面に座り込んだ。

声はかれてもう出ない。



涙が急にあふれだして、



『みーくん・・・』


そう小さな声で呟いた。







『みさき・・・ちゃん?』


後ろから自分の名前を呼ぶ声がして、ふりかえると、そこには――




『みーくん?』





栗色の髪の男の子がいた。

まっしろなシャツに、水色のズボン。

まんまるの大きな瞳が小さく揺れていた。




わたしは嬉しくて、どこからそんな力がわいてきたのか、走ってその男の子に抱きつく。


『こわかったよおー。』



どこにもいかないでって、

ぎゅっと抱きついて泣いた。



そうしたら男の子はやさしく笑って、わたしの頭をなでた。


『だいじょうぶ、ぼくはみさきちゃんのそばにいるよ』


 


 
 『ずっとずっとはなれないから――』

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