俺様王子とメイドちゃん
「美咲ちゃんは、いつも仕事を頑張ってい
るでしょ。

それに、とってもいい仕事をしてくれてるわ」



「あっ、ありがとうございます!」



「それでね、わたしの息子の家族が新しい

お屋敷に移り住むことになっているの。


仕事のできる使用人が必要なんだけど、

なかなか見つからないそうでね。



息子からその話を聞いて、美咲ちゃんの

ことを思い出したのよ。」







だから、わたしにそこで働いてほしい、

そういうことだった。




「でも、わたしここで働くのが好きなんです。

奥様や使用人の皆と過ごしたいんです。」




わたしは、懸命に訴えた。



わたしの思いは強い。




「ええ、わたしは美咲ちゃんがこのお屋敷

からいなくなってしまうのはすごく寂しいわ。


でもね・・・」





「そこでの給料はここと比にならないぐらい高い――」

「引き受けますっ! その仕事、わたしにやらしてください!!」

即答。

給料が上がるなら、ためらう理由はないっ!

さっきまでわたしの脳裏に浮かんでいた使

用人の皆の顔は、頭の中から煙のように消

えた――。




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