俺様王子とメイドちゃん
湊side

あいつを無理やり連れてこさせたのは俺だ

そうでもしないと捕まえられないと思ったから
  





だから、部下に指示したとき、ためらう

気持ちなんてなかった


あいつがどんな風に思うのかなんて

どうでもよかった





それなのに、

あいつの泣きそうなくらい震えた声を聞い

たとき、俺は馬鹿なことしたって思った



そうしたら、自分でも知らないうちに

勝手に体が動いて、


“ごめん”



この言葉を使ったのは、何年ぶりだろうな




自分で自分がわからなくなる――

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