これは、いつかの君の話
「かっこ悪いねぇ。俺。女に振られてやけになって、志乃ちゃんに八つ当たりして。何してんだろうなぁ。」

泰雅の眼には涙がたまってきていた。

志乃にはそれがほっておけなくて、泰雅を抱きしめた。

無意識の行動。

「なに・・・してんの?」

泰雅の一言で我に返った。

自分でも自分の行動が分からない。あっせた私は必死に言い訳して見せる。

「ちがっ!小谷さんがかわい・・じゃなくて、えっと、その、」


泰雅はふっと笑って、

「俺そんなに悲しい顔してた?笑後輩ちゃんに慰められるとか相当だよね笑」

それでも悲しそうな泰雅は、もういいんだよ。と言わんばかりに志乃から離れて、砂浜を歩き出した。

志乃も必死に追いつこうとしたけど、泰雅のスピードは速くなっていく。


「くんなよっ!・・・俺の隣にいるべきなのは志乃ちゃんじゃないんだよ・・・」

泰雅は悲しそうな眼をして、どこか矛盾したように叫んだ。

志乃はどうすることも出来ずにその場で立ち止まった。


駅の目の前。

志乃は次の電車を待った。


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