秘密のキスは夜のオフィスで
三澤さんと佐藤さんは、僕の事を話題にして楽しそうに話していた。
僕としては、餌付けとかご褒美とか、子供扱いされてちょっぴり不愉快だ。

……でも、三澤さんがくれるご褒美ってちょっと気になる。


「三澤さんにご褒美もらうために、僕頑張ります!」


僕は三澤さんに向かって思いっきりガッツポーズをして見せた。

三澤さんは珍しく目を丸くして驚いている。

いつもクールに決めているからこそ、その表情は僕にとって新鮮そのものだった。



ああ、早く一人前になって、三澤さんに認められるようになりたいな。

三澤さんは、誰よりも仕事が出来て、誰からも信頼されている、”大人の男”という言葉がふさわしい人。

スーツやネクタイや腕時計など身に着けているもの全てが洗練されていて、男の僕から見てもカッコいい男の人。


……十年経ったら、僕もこんな男になれるのだろうか。
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