秘密のキスは夜のオフィスで

――三澤さんから与えられた次の仕事は、お得意様との契約書類を作成し、契約内容を一人で説明できるようにするというものだった。


僕は心を入れ替えて、自主的に朝早く出勤し、昼休みも休むことなく仕事に集中した。
佐藤さんや三澤さんからアドバイスをもらいながら、何とか完成することが出来た。



「……三澤さん、あの契約書類が完成しました。説明の準備も出来ています」


緊張を声に出さないように、落ち着いて三澤さんに話しかける。
定時をとっくに過ぎて、オフィスには僕と三澤さんの二人だけだった。


「じゃあ、今から会議室に行くか」


三澤さんはノートパソコンを手に持ち、席を立った。


「誰もいないので自席でも大丈夫ですが」


「……会議室の方が緊張感があるだろう」