秘密のキスは夜のオフィスで
三澤さんはそう言って意地悪に笑った。
……もしかして、僕が会議室に呼ばれる度に緊張していることに気づいている?


「分かりました」


僕は三澤さんの後に続いて、オフィスの隅にある小さな会議室へと向かった。
小さな部屋に明かりをつけて、僕たちは向かい合って座った。


「俺をお客様だと思って説明してみろ」


「はい……」


この部屋が僕を緊張させているのか、室温はそれほど高くないのに手に汗がにじんでいく。
このままだと三澤さん相手にうまく説明できないかもしれないと思った僕は、小さく一度深呼吸をした。


「――これで、説明は以上です」
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