秘密のキスは夜のオフィスで
たどたどしい部分はあったけれど、僕は無事に契約内容を説明することが出来た。
三澤さんは契約書に目をやりながら、黙って僕の説明を聞いていた。

反応がないので成功なのか失敗なのかよく分からない。
僕は三澤さんの方を真っ直ぐに見つめて、彼の言葉を待った。



「改善点はいくらでもあるが、お前にしてはよく出来ているな」


三澤さんは目を細めてふっと笑った。


「あ、ありがとうございます!」


今、三澤さんに初めて褒めてもらえた。まだ改善点はあるらしいけど、それでも嬉しくてたまらない。
そして、いつも僕のことを厳しい顔で見ている三澤さんが僕に笑顔を向けている。

なぜだか分からないけど、それがまた嬉しくて仕方がなかった。



「……では、約束通りご褒美をあげないとな」
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