大野さん 初めてのチュウ

「山田が君の腰に手を回したりして、君はやつに、、。だーっ、もう、まともに目に入ったら、頭に血が上って暴れだしそうだ。」
言ってる事は怖いけど、なんか、ちょっと嬉しいかも。
「。。でも、。。。。だって、芝居だし。」
「分かってるよっ。」
いきなり怒鳴られた。やっぱり神井くん怖いよっ。

　そのまましばらく無言でいるとバスが来た。バスの中でも無言。普段自転車で帰ってしまう神井くんと一緒に帰宅できる日は少ない。すごく嬉しい筈なのに。今日はなんだか複雑な気分。これ以上怒られない間に帰りたい。バスはのろのろと進み、やっと私の降りるバス停までやって来た。
「じゃあ、またね。」
そそくさとバスを降りると、何故か神井くんも一緒に降りた。彼は終点からさらに歩く筈だ。

「どうして？」
「送るよ。」
うわー。遠慮したいような、嬉しいような、複雑。
「でも、雨が振ってるし、早く帰った方が。。」
「嫌なの？」
さすがに嫌とは言えない。彼が歩き出したので、私も傘をさしてついていく。