大野さん 初めてのチュウ
「どうしたの?」
「ん。。。これ持って。傘は、一本で良いや。」
傘をとりあげられ、代わりに彼の鞄を持たされる。おもいっ。両手が拘束されたみたい。
鞄が重くてヨロヨロしていたら、突然、彼は私を自分の傘の中に抱き寄せた。きゃーっ。
何が起こったの?胸がやたらドキドキして、頭の中は何を考えていいのかパニックになる。鞄が落ちて濡れちゃうよ。寒いから早く帰ろうよ。どれも違う。
傘で作られた狭くて寒い部屋の中、隙間だらけで霧雨が吹き込む。彼は私の顔をみてにっこり笑った。何故だか分からないけど、笑った彼に私はすごくホッとした。
「髪、濡れてる。おでこも。」
手で私の前髪をとかし、こめかみの髪を耳にかけてくれる。優しく触れる指先が、くすぐったくて気持ちいい。
「多恵が好きなんだ。」
「うん。」
「なんで、こんなに、ドキドキするのか、自分でもよくわからないんだけど。。」
「うん。」
あぁ、良かった。もう怒ってないみたい。緊張して硬くなっていた身体の芯から力が抜けた。神井くんが支えてくれるのに任せて、全身の力を抜く。背中に回った手が力強くて温かい。髪を優しく撫でる指先が、耳元にかかる吐息が、気持ちよくて、なんだかトロンとしてしまう。
「ん。。。これ持って。傘は、一本で良いや。」
傘をとりあげられ、代わりに彼の鞄を持たされる。おもいっ。両手が拘束されたみたい。
鞄が重くてヨロヨロしていたら、突然、彼は私を自分の傘の中に抱き寄せた。きゃーっ。
何が起こったの?胸がやたらドキドキして、頭の中は何を考えていいのかパニックになる。鞄が落ちて濡れちゃうよ。寒いから早く帰ろうよ。どれも違う。
傘で作られた狭くて寒い部屋の中、隙間だらけで霧雨が吹き込む。彼は私の顔をみてにっこり笑った。何故だか分からないけど、笑った彼に私はすごくホッとした。
「髪、濡れてる。おでこも。」
手で私の前髪をとかし、こめかみの髪を耳にかけてくれる。優しく触れる指先が、くすぐったくて気持ちいい。
「多恵が好きなんだ。」
「うん。」
「なんで、こんなに、ドキドキするのか、自分でもよくわからないんだけど。。」
「うん。」
あぁ、良かった。もう怒ってないみたい。緊張して硬くなっていた身体の芯から力が抜けた。神井くんが支えてくれるのに任せて、全身の力を抜く。背中に回った手が力強くて温かい。髪を優しく撫でる指先が、耳元にかかる吐息が、気持ちよくて、なんだかトロンとしてしまう。