キャッチボール
3
次の日、つまり土曜日。
私は陽翔の試合結果が気になって、
せっかくのオフなのに家でゴロゴロしていた。
今、17:30。
もうそろそろ帰ってくるかな…
あー!!ランニングでもしよう!
私はジャージに着替えてまたポニーテールにして玄関を出た。
「…………あ」
「…………おう」
家の前に、陽翔がいた。
「………あの、試合お疲れ…」
「………………おう」
なんか、暗いな…。
もしかして、負けて落ち込んでるとか…?
「沙良。」
「う、うん?なに?」
「勝ったぞ!初先発で、完封!」
「…………………」
ヤバい。
「って、おーい?沙良さん?
喜んでくれないの?」
「……………っ!!」
喜んでるよ。嬉しすぎて…………
「なにお前、泣いてんの?」
「おめでと……っ!よか…った…!」
私は陽翔に抱きついた。
「え、ちょっ!!沙良!」
「!ご、ごめん!!」
私ってば、何してるんだろ!!
慌てて陽翔から離れようとする。
けど、陽翔が私を引き寄せ、また抱き締めた。
「え……陽翔?」
「ちゃんとレギュラーになって勝ってから、
沙良に言いたかったことがあるんだ」
どくん、と心臓が跳び跳ねる。