裏切り者のお姫様 (更新中)


「チカに何を吹き込まれたか知らないけど、そういうの迷惑だから。少しでも僕との関係を穏やかな物にしたいなら、本当の緊急時以外話しかけてこないで。うざい。」



「…わかった。」



「あぁ、それと良いこと教えてあげるよ。」



「…?」





ずっと仏頂面で淡々と言葉を並べていたのに、急に立ち止まって悠里くんがとても綺麗な笑顔で私の方を向いた。

そしてそっと私の耳元で囁いたのだった。









「僕らの中でうまくやっていきたいなら、『お互いに干渉しない』こと。それが“暗黙のルール”だよ。」








私が以前言った“暗黙のルール”という言葉を使った悠里くん。


そして再び仏頂面に戻ると、スピードをあげて歩き始めた。


どういう道のりを歩いてここまで来たのかわからないけど、バーは見えるから置いて行かれても大丈夫と冷静に考えつつ、


“それって本当に仲間っていうの…?”


なんていう綺麗事が頭に浮かんだ。


…本当に綺麗事だ。

お互いに干渉しないこと。
それは私が今までずっととってきた行動のことなんだから。

その人のことを自分から見えないところまで知ろうとする必要はない、そうすれば良い関係が続けられる。

そうやって私は生きてきたんだから。


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