裏切り者のお姫様 (更新中)
その言葉に反射的にうつむいていた顔を上にあげた。
涼くんの表情はいつもみたいに優しくて、柔らかい笑顔で、まさか一ヶ月前に軽蔑するような目を向けてきたとは思えない。
やっぱり、涼くんは私の話を聞いてくれるんじゃ…
「いい気味。」
「…え。」
「なに。僕が前までみたいに手伝ってあげるとでも思った?期待しちゃった?」
「…。」
「やめてよね。誰が裏切り者のお姫様のことなんて手伝うの。冗談でも笑えないんだけど。」
再び向けられる涼くんの軽蔑するような目。
あぁ、期待した私がバカだった。
涼くんならって思った私の考えが浅はかだったんだ。
ぎりぎりぎりと胸が苦しくなってくる。
まだ涼くんは何か言っているけどあまり耳に入ってこない。
もうそれ以上は言わないで。
いいから。
もう、話を聞いてほしいとも思わないから。
期待なんてしないから。