裏切り者のお姫様 (更新中)


その言葉に反射的にうつむいていた顔を上にあげた。



涼くんの表情はいつもみたいに優しくて、柔らかい笑顔で、まさか一ヶ月前に軽蔑するような目を向けてきたとは思えない。



やっぱり、涼くんは私の話を聞いてくれるんじゃ…




「いい気味。」



「…え。」



「なに。僕が前までみたいに手伝ってあげるとでも思った?期待しちゃった?」




「…。」




「やめてよね。誰が裏切り者のお姫様のことなんて手伝うの。冗談でも笑えないんだけど。」




再び向けられる涼くんの軽蔑するような目。


あぁ、期待した私がバカだった。



涼くんならって思った私の考えが浅はかだったんだ。



ぎりぎりぎりと胸が苦しくなってくる。


まだ涼くんは何か言っているけどあまり耳に入ってこない。



もうそれ以上は言わないで。



いいから。
もう、話を聞いてほしいとも思わないから。
期待なんてしないから。


< 14 / 122 >

この作品をシェア

pagetop