裏切り者のお姫様 (更新中)
私なんて、生まれてこなければよかったのに。
『千代ちゃんなんていなければよかったのに』
ほんとにね。
私もそう思うよ。
あの時…、“私”を捨てたあのときに死んでしまえばよかった。
殴られる覚悟をして目をつぶった。
そして殴られる音がして、目を開けると目の前の男の人たちは倒れてて、私は怪我をしていなかった。
代わりに目の前にはきれいな顔立ちをした青年。
真っ黒でさらさらしてるんであろう髪に、真っ黒な瞳、真っ黒なパーカー。
純粋に『綺麗だな』って思った。
夜に愛されているような人だなって。
そしてその青年は無表情のまま口を開いた。
「…大丈夫?」